北原白秋は姦通で逮捕されたことがある!?

 北原白秋は大正時代を代表する詩人です。わが国古来の和歌の伝統に、異国情緒、特にフランス芸術を融合させた新しいタイプの詩歌は、当時の文芸の世界に革命的な影響を及ぼしました。「言葉の錬金術師」とも評される表現力は、若い女性たちから絶大な人気を獲得。現代のような「アイドル歌手」のいない時代のことですので、白秋はスターのようにもてはやされ熱狂的に愛されました。若くモテモテの独身男性が人気の的になれば、しばしば過ちが起こるもの。詩人は危険なものが大好きです。

自宅の隣の庭を除くと、セクシーな体つきの人妻が縁側で赤ちゃんにおっぱいをふくませているのが見えました。そんな姿を毎日毎日見せられつづけられ、ムラムラしてしまいます。当時の刑法には「姦通罪」がありましたので、人妻との不倫はご法度のはず。でも、その人妻が胸に飛び込んでくると白秋の性欲はとまりません。三日三晩寝る間も惜しんでしてしまいました。それが夫にバレて逮捕されて、人気作家はたちまちマスコミから「汚辱」(おじょく)の人と騒がれることになります。事件によって、せっかく築き上げた名声は地に落ち、上向きかけた収入も激減して生活は困窮しました。ただ、この経験が白秋の作品に深みを与えたことも確かです。愛の悲劇を糧にして、歴史に名を残したとも言えるでしょう。

姦通罪を適用された最も有名な人!?

ビル

 著名な人が姦通罪で訴えられることはめったにありません。妻の浮気相手が有名人であれば、内々に示談で済ませるケースがほとんどです。しかし、白秋の場合は相手が悪かった。不倫相手の夫は新聞社のカメラマンだったのです。メディアに勤める人は有名人に敏感で、「金になる」ことを知っています。夫はすでに妻とは離婚する気でいましたが、浮気を知って、チャンス到来!と喜び、すぐに警察に訴えてしまいました。

男の提示した示談金額は300円。それが払えず示談ができないと監獄いきです。しかし、妻の父親は不実を働いた娘にやる金はないと突っぱね、白秋の方は名が売れたといってもまだまだ新人の貧乏作家。300円を今の価値にすれば、数千万円。そんな金はどこにもありません。白秋の弟があちこち駆けずり回り、借金を重ねてなんとか金を用意して、二人は檻から出してもらうことができました。

セクシー美女に教えられた甘美な関係

 白秋はその人妻俊子と出会ったときのことをこう書いています。「豊満な、非常に眼の動くフランス型の顔だちで、背のすらりとして下腹部できゅっと締(しま)って腰の出っ張った、どうみても日本の女ではなかった」と。お尻は大きいのに腰はくびれてエロチックな俊子の肉体に、一目惚れしたのです。さらに俊子から衝撃的な話を告白されムラムラは頂点に達します。

毎晩、夫から叩かれたりムチで打たれたりのSMセックスを強いられて辛い、しかも、芸者の愛人を家に連れ込まれて3人でプレーしているのだと。彼女は毎晩アブノーマルセックスを強いられていたのです。白秋は彼女に同情すると同時に、わが物にしたいというエロチックな妄想にとりつかれます。俊子と出会い、白秋は初めて「官能」の悦びを知りました。そして、逮捕によって「苦しみ」も。

釈放された後の白秋は、「血のごとく山椿咲く冬の暮 狂人とおのれなりはてにけり」と苦しむようになります。愛の苦しみを知ったことで、彼の作品は大きく変貌していきました。