描かれている時代の背景を知る

 近年、昭和初期に流行したプロレタリア文学や新感覚派の文学作品が再び注目を集めるようになっています。 もちろん純粋な文学として楽しむことのできる作品も多く存在しています。しかし、同時に政治的な思想などを強く主張する作品も少なくありません。このような作品を楽しむにはその時代の背景を知る必要があります。 ほとんどが戦前の作品ですので、多くが60年以上も前の作品となります。現代人が何の予備知識も持たずに読んだところで、作者の意図を理解することはできないでしょう。

文学を楽しむための近代史

ビル

 ある程度近代史の知識を持つことで、明治~昭和初期の近代文学をより楽しむことができるようになります。この100年で日本人の意識や思想は大きく変化しました。ですので、その時代の文学を楽しむには、その時代についての知識が必要となってきます。
しかし、わざわざ小説を読むために歴史の教科書を開くのは気が重いという人も少なくないでしょう。ですので、歴史の流れや、当時の世の中を知ることのできる歴史小説や伝記などを事前に読んでみましょう。
幕末から明治への時代の流れを知りたいのであれば、司馬遼太郎の「燃えよ剣」や海音寺潮五郎の「江戸開城」、明治~昭和初期の軍国主義への経緯や当時の世勢を知りたいのであれば、三好徹の「板垣退助‐孤雲去りて」や津本陽の「巨人伝」などを読んでおきましょう。
昭和になると、時代の流れが急激に加速しますので、現代作家によるその時代の解説の含まれた作品から時代背景を知りましょう。戦前であれば宮部みゆきの「蒲生邸事件」、戦後なら花村萬月の「ワルツ」などを読んでおくと良いでしょう。
一度時代背景を頭に入れておけば、楽しむことのできる作品の幅も広がり、より読書を楽しむことができるのではないでしょうか。ここで挙げた作品は、文学作品としても良質なものですので、読むことを楽しみながら多くの知識を得ることができるでしょう。
現代以外の時代を知ることによって、さまざまな文学作品を楽しめるだけでなく、より知識を高め、広い視野を持って物事を捉えることができるようになります。さまざまな知識を得ることを無駄なことと考えるのではなく、知ることを楽しみながら人生をより豊かなものにして行きましょう。