電子書籍のデメリットってなに?

 今回は、電子書籍のデメリットについて、決して表面的ではない部分に踏み込んでお伝えします。

表面的なデメリットにとらわれるな!

ビル

 「電子書籍」という言葉を聞いただけで、「でも結局は紙の本には敵わないでしょう」と決めつけたように言う人がいます。たしかに、電子書籍は紙の本をもとに考案されたものですが、物質として"紙"とはまったく異なります。したがって、ほとんどそれと同等の機能が備わっているにもかかわらず、「あれができない、これができない」と言いがかりをつけるのは、単なる愚痴です。生産的な話ではありませんね。それは、カニカマを食べた人が「本物の蟹は、まったくこんな食感じゃない!」と言いがかりをつけるようなものです。

それでは、これを踏まえたうえで、本当にデメリットになるのは、どういうことなのか。電子書籍が紙の本と補完してゆかなければならないのは、どのような部分なのか。そう考えると、あなたの読書体験における価値観は、紙の本しかなかった時代ではまったく想像できなかったような高みまで、飛躍できるでしょう。

"偶然の出会い"を持てない脆弱性

 現在、電子書籍が紙の本にもっとも本質的に敵わない部分は、「本屋さんの中で偶然、ある作品と出会えないこと」ではないでしょうか。とはいえ、これは電子書籍に限らず、インターネットでの買い物が普及してから、すべてものごとに共通して言えることです。

リアルな店舗に足を運んで、商品を物色する。そこには、"今日、たまたま、この本屋さんに足を運び、偶然通りがかった棚で、目についた本"との出会いの可能性があります。事前に目をつけていたお目当ての本を買いに行くときでも、もしかしたら、別の本が目に入って、急に考えを変えることがあるかもしれない。本好きな方なら、そのようにして人生を変える本と出会った経験のひとつやふたつ、いえ、それ以上があるのではないでしょうか。

現在、電子書籍のストアには、リアルな書店に匹敵するような、偶然の出会いの可能性がありません。大型の書店の中には、電子書籍購入用のカードを並べて販売しているところもありますが、それは今のところごく一部のジャンルの本に限定されています。目的をもって検索した本でもなく、これまでの購入履歴から人工知能が割り出したオススメの本でもなく、"あなた自身の身体と、たまたま出会った本"。これが実現できない限り、紙の本と電子書籍は、まだまだ手を取り補完し合うべきではないでしょうか。

絶版時における読者の弱さ

 電子書籍ストアから買った本は、そのストアが絶版を決めたとき、私たちの端末からも消えてしまいます。あるいは、ストア自体が倒産して、すべての本を失ってしまう可能性もありうるわけです。これが紙の本であったら、たとえ絶版になっても、手に入れたら"こっちのもの"でした。電子書籍では、そういった意味で読者の立場の弱さが目立ちます。動画や音楽の配信サービスも同様の問題を抱えていますが、これからの"所有"の問題はどのような進展がみられるのでしょうか。今後が楽しみですね。

今回は、電子書籍のデメリットについてお伝えしました。「文字が書き込めない!」「ページが折れない!」程度のことは単なる愚痴にとどめ、建設的な考えにつながるデメリットを探してゆきましょう。