現代の文豪花村萬月

 文学というと、過去の文豪達の作品をイメージする人も多いのではないでしょうか。しかし、現代にも偉大な文豪たちと肩を並べることのできる可能性を持った作家が多く存在しています。その一人が、純文学とエンターテイメント文学の両方の魅力を掛け合わせることに成功した鬼才・花村萬月です。
・花村萬月 - Wikipedia

独特の世界観

ビル

 花村作品の魅力の一つに、独特の世界観が挙げられます。主に初期の作品では、アウトローの世界で生きる人々の世界を描いていました。これでもかというほどに細かく描かれる描写は読む者を引き込み、圧倒してしまいます。そして、その世界の描写の中でまるで実在している人物のようにリアルな人物が動いています。初期の作品の場合、視点が統一されていないことも多かったことから、多くの人物の動きまで細かく描かれています。通常、このような書き方をしてしまうとストーリー性や、それぞれの人物の関連性が薄れてしまいがちになってしまいます。ここをカバーするのが、力強い筆力で描かれた世界観です。この世界の中で人物を描くことによって、ストーリーの展開や、それぞれの人物の関連性を邪魔することなく、細かい人間描写が可能となっています。この高い技術があったからこそ、純文学とエンターテイメント文学の一体化に成功することができました。

美しい日本語

 現代作家の中で、これほどまでに美しい日本語を使いこなすことのできる作家はいないとまでいわれるほど、花村の言語感覚は優れています。暴力や性的な描写が多いことから、野蛮なイメージが持たれることも多いですが、その文章をしっかりと見つめてみるとその美しさに気付くことができるのではないでしょうか。

 花村萬月は現代作家の中でも、特に優れた作品を発表し続けている作家の一人です。後世でも文豪の一人として語り継がれて行く作家であることは間違いありません。一度かれの濃厚で重厚な作品に触れてみてはいかがでしょう?