意外とマイナー?C・S・ルイスの『ナルニア国物語』

 イギリスには『指輪物語』と並ぶほど有名なファンタジー小説があります。全7巻構成のC・S・ルイス作『ナルニア国物語』は、1950年代英米文学黄金期の傑作のひとつとされており、映画化もしましたが日本での知名度は今ひとつです。

イギリスの図書館協会による児童文学賞「カーネギー賞」も取っており、優れた内容であることは確かなのですが、他の名作ほどの人気がありません。いったいなぜ、面白い作品であるにも関わらず日本ではマイナーなのでしょうか。

王道ファンタジー!架空の世界ナルニアで繰り広げられる物語

ビル

 『ナルニア国物語』は架空の世界ナルニアを舞台にした物語です。20世紀の現実世界からやってきた少年少女たち(巻ごとに主要人物はそれぞれ異なる)が、いろいろな問題を解決したり悪しき者を倒したりしていきます。

ナルニアという世界のはじまりから終わりまでを描いた話であり、作者のC・Sルイスが敬虔なキリスト教徒であるためか、宗教的な価値観がふんだんに盛り込まれています。舞台となる架空の世界も、神話にもとづいたものです。

魔法の道具や人ではない種族の者たち、世界の創造主にあたる人物や悪い魔女など、まさにファンタジーの王道的要素がたくさんあります。文学としてはもちろん、小さい子どもに読み聞かせるのにも適していると言えるでしょう。

読みやすくて面白い!しかいなぜか人気が出ないという不思議

 キリスト教的価値観がいたるところにありますが説教くさくはありませんし、専門用語がたくさん書かれているわけでもありません。むしろ簡単な言葉で理解しやすく書かれており、誰にでも受け入れられる文章になっています。

にも拘わらず、映画化しても『指輪物語』や『ハリー・ポッターシリーズ』ほどの話題は呼べず、日本での人気は今いち低いのが現実です。人気が出る要素も、夢のある世界観もあるのにあまり人々に知られていません。

映画の配給は2作目までウォルト・ディズニーが行っていました。しかし期待した通りの興行収入にならず、3作目以降は20世紀フォックスに変わったそうです。全巻の映像化が決定してはいますが、雲行きは怪しくなってきています。

日本人には理解しづらい?人気が出ないふたつの理由

 さらに、製作が決定している第4作目は配給会社が未定であり、かなり雲行きが怪しくなっています。古典ファンタジーの名作であるのに、いったいなぜ売れ行きがかんばしくなく、また人気が出ないのでしょうか。

原因はふたつ考えられます。まずひとつは映像化にあまり適していない作品だったことです。魔法の道具などは出てくるものの、他の作品に比べて描写はどちらかというと地味目で、文学好きに好まれるようなものになっています。

もうひとつは、宗教的な世界観が日本人にはわかりにくいことです。欧米ではキリスト教が社会に根付いているのですんなり受け入れられますが、日本は無宗教の人も多いため、宗教的な善悪などが今いち共感できないのでしょう。