柳美里の作品に触れる

 柳美里が、現代の女流文学をリードする存在です。あまりにも赤裸々に綴られたエッセイが目立ってしまった影響もあり、スキャンダラスなイメージが先行してしまいがちですが、天才的な作家としての一面も持っています。もちろん、大ヒットした「命」などのエッセイも彼女ならではの美しい文章で描かれていますので、文学作品としても評価されるべきものであるといえるでしょう。ここではそんな柳美里の作品に触れてみましょう。

ビル

 言わずとしれた、彼女の代表作となったエッセイです。新しい命の誕生と、愛する人の死を描いたこの作品は、感動を呼び大ベストセラーとなりました。柳美里の名を世に知らしめた作品です。もちろん、その劇的なストーリーもこの作品の魅力の一つとなっていますが、何よりも、その並外れた描写こそが最大の魅力です。同じストーリーであっても彼女でなければ描くことのできなかった作品であるといえるでしょう。この点からも、彼女の純文学作家としての高いポテンシャルを伺うことができます。

ルージュ

 柳作品の中でも比較的ライトなタッチで描かれた作品です。一部の文芸評論家からは、彼女らしさが見られないとして低評価をつけられてしまいましたが、この作品にもしっかりと彼女ならではの細かくリアルな描写が溢れています。ストーリー展開もテンポが良いため、あまり純文学に触れたことがない人であっても楽しむことのできる作品に仕上がっています。

ゴールドラッシュ

 彼女はよく、三島由紀夫と比較されることが多い作家です。そして、このゴールドラッシュは三島の代表作である「金閣寺」と比較されることの多い作品となっています。強烈な若さと美意識というテーマを描いた作品のまさに金字塔的な一冊であるといえるでしょう。日本の文学史上に名を刻むべき名作の一つです。

 彼女の描く性を凝縮したような作品が本作です。この生々しい性描写はまさに彼女にしか描くことのできないものでしょう。これほどまでに濃密な性を描くことができるからこそ、スキャンダラスなイメージが先行してしまったのだと考えれば、納得してしまいます。

 柳美里の作品はとても濃厚でリアルな世界が描かれています。一度触れるともう他の小説では満足することができなくなってしまうかもしれません。